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世界でいちばん人気のフィルムカメラ「CONTAX T3」レビュー

写真家やセレブが愛用している人気フィルムカメラ

2010年代中盤から2020年現在にかけ、フィルムカメラブームが世界的に到来しています。

おそらくはインスタグラムのフィルターから始まり、VSCOによるフィルムシミュレーションを経由して、本物であるフィルムに広がっていったムーブメントではないかと思います。

そんなフィルムカメラブームの最高峰に位置するのが「CONTAX T3」

この記事では、僕が愛用しているこのカメラについて紹介します。

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フィルムカメラの完成形「高級コンパクト」

「CONTAX T3」が属する「高級コンパクトカメラ」は、現在フィルムカメラの中でも特に高騰しているジャンルです。

その定義はというと、基本的には“1990年代以降に発売された、レンズ固定式のフィルムカメラ”です。つまり一眼レフのようにレンズを交換することはできず、カメラボディとレンズが一体化したカメラということ。

具体的な製品名を挙げるとすると、「CONTAX T3」を筆頭に「CONTAX T2」「RICOH GR1」「FUJIFILM NATURA CLASSICA」「Leica Minilux」など。

いずれもフィルムカメラからデジタルカメラに時代が移行する時期の製品となるため、言ってみればフィルムカメラとしては“完成形”の領域。

“ボディがコンパクトなのに一眼レフ並の画質で写真が撮れる、操作が簡単なフィルムカメラ”と捉えて間違いないでしょう。

この「CONTAX T3」は、京セラが2001年に発売した、まさにフィルム末期に出たカメラです。

僕が「CONTAX T3」を購入した理由

僕が「CONTAX T3」を購入した理由はシンプル。

ギズモード・ジャパンへの寄稿でも書いたのですが、敬愛するアーティストであるヴォルフガング・ティルマンスが使っていたからです。

現在はデジタルカメラを使っている彼ですが、以前はKonica BIGminiやCONTAX T3を使用していたと知られています。

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ちなみに僕が使っている「CONTAX T3」は歴代2台目です(2014年当時7万円で購入したブラックモデルは紛失していまいました)。

「CONTAX T3」の気に入っているところ、イマイチなところ

気に入っているところ👍

  • フルオートで簡単に美しいフィルム写真が撮れる
  • いつでも持ち歩ける携帯性
  • ミニマルなデザインとチタンボディの質感の高さ

イマイチなところ👎

  • シャッターを切っている感覚が薄い
  • ファインダーのブライトフレームが見づらい

“iPhone感覚”で使えるフィルムカメラ

こちらが「CONTAX T3」のコントロール部。

シャッター、フラッシュON/OFF、MODE、露出補正、AFL、電源&絞りダイヤルと、現代のデジタルカメラや一眼レフと比べて極めてシンプルです。

ダイヤルで電源を入れると、まず「P(プログラムオート)」になることからも分かる通り、基本的に「CONTAX T3」はオートで使うカメラと言っても差し支えありません。僕も実際にほぼオートでしか利用しません。

そしてAF(オートフォーカス)も優秀。

Pモードに設定し、シャッターボタン半押しでフォーカスを合わせ、全押しで撮影するだけ。

実質シャッターボタン以外は押しません。

ちなみに多くのフィルムカメラはシャッターを切った後、次の撮影ができるようにフィルムを送らなければならず、またフィルムすべてを撮り終えた後も巻き戻さなくてはなりません。しかし「CONTAX T3」はそれもすべて自動で行ってくれます。

つまり「CONTAX T3」はiPhoneのように手軽に使えるフィルムカメラなのです。

親密で美しいカールツァイスレンズの描写

「CONTAX T3」は撮影が簡単なだけではありません。

数多くの写真家がサブカメラのみならずメインカメラとしても利用しているように、特筆すべきはその画質。

「CONTAX T3」はレンズ界の王様と言われるカールツァイスによる35mm単焦点レンズを搭載しており、コントラストと色乗り、立体感すべてのバランスが秀逸です。

ちなみにフィルム写真の場合、カメラボディは画質に対してほとんど影響がありません。

というのも、デジタルカメラにおけるセンサーの役割をフィルムが担っているからです。

「レンズを通した光」を「フィルム」が受け取って写真が出来上がる、と考えれば分かりやすいと思います。

そのため、フィルム写真におけるレンズは超重要パーツ。

「CONTAX T3」が搭載しているカールツァイスの35mmゾナーは、このカメラの”格”を決定づけている要素と言って間違いありません。

少し広めのほどよい親密さで記録できる35mmという焦点距離を持ちながら、最短35cmの近接撮影にも対応していますので、ポートレイトからストリートスナップ、テーブルフォトまで幅広く対応してくれます。

シャッター音は静か。悪く言えば「感触が薄い」

フィルムカメラ末期の製品らしい完成度を誇る「CONTAX T3」ですが、気になる点が無いわけではありません。

その一つがシャッター音。

まるでデジタルコンパクトカメラのように静かなシャッター音で、もちろん一眼レフのようなミラーショックもありません。これはこれでいいのですが、「撮った」という感覚に非常に乏しいのも事実です。

そしてもう一つが、ファインダー内のブライトフレームの見づらさ。

「CONTAX T3」のファインダーは、一眼レフやミラーレスのようにレンズを通した光景を表示するものではなく、写ルンですのように素通し。

そのため実際に写真に写る範囲を大体の感覚で示してくれるブライトフレームと呼ばれる枠がファインダー内に表示されているのですが、これが絶妙に見づらく、ちょっとストレスになります。

もちろん厳密なフレーミングはできませんので、構図を追い込んだ写真を撮りたい場合は撮影後のトリミングは必須となるでしょう。

価格高騰でおすすめできませんが、大好きなカメラです

以上、ご紹介してきた「CONTAX T3」ですが、世界中の写真家やセレブが使っていることもあり価格高騰が止まりません。

2020年5月現在、日本では15万〜25万円程度が相場となっており、新品価格の数倍のプレミアがついてしまっています。

そのため正直おすすめはしづらいですが、間違いなく僕にとっては宝物のような大切なカメラです。

昨日修理レポートを書いたように、まだ修理を受け付けてくれているところもまた魅力。できるだけ長く使いたいカメラです。

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照沼健太

編集者・ライター・写真家・音楽評論家。2014年より2016年末までユニバーサル ミュージックジャパンのオウンドメディア『AMP』編集長を務め、並行してライフスタイルメディア『ROOMIE』に編集部員として参画。現在は音楽・カルチャー・広告等の分野にてコンテンツ制作やプロデュースを行っています。

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