写真

触れるたび衝撃を受けるカメラ「ライカSL」

2020年現在も輝く、ライカ初のフルサイズミラーレスカメラ

2015年に発売された、ライカ社初のフルサイズミラーレスカメラライカSLを仕事用のメインカメラとして使っています。

現在は後継機「ライカSL2」が発売されており、当初新品92万円前後だった価格も現在は中古で30万円台の個体も見られるようになりました。

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しかし、2020年現在もその魅力はほとんど衰えておらず、カメラマンの仕事撮影においても現役のスペックを誇っています。

パナソニックやシグマとの協業によるLマウント搭載とあって、むしろ発売当初よりも今の方がその使い勝手は向上している部分すらあり、複数の人気フォトグラファーが購入を検討していると言う声もちらほらと耳にします。

この記事ではそんなライカSLを1年以上使っての、モノとしての魅力にフォーカスを当てたレビューをお届けします。

気に入っているところ、イマイチなところ

まずは結論から。

GOOD👍

  • 比類するものがないアルミ削り出しボディ
  • 美しいファインダー
  • 現像耐性の強いRAWデータ
  • ライカMマウントレンズとの相性の良さ
  • SL用レンズの圧倒的描写力
  • カスタマイズ前提のUI
  • ライカQ2と共通のバッテリー

NG👎

  • 大きくて重いボディ
  • SL2でUIが変わって汎用性ダウン
  • 外部マイクの接続性が悪い
  • テザリングが不安定

なんといってもアルミ削り出しボディがすごい

現代のデジタルカメラはすでに一定の完成度に達しており、プロ用/ハイアマチュア用クラスのカメラを使えばメーカーに関係なく素晴らしいクオリティーの写真を撮ることができます。

そんな状況でどのようにカメラを選ぶのか。

使いたいレンズがあるか、業界標準かどうか、メーカーに将来性があるかなど、その基準はいくつかありますが「使っていてテンションが上がるかどうか」を挙げるカメラマンは少なくありません。その点でいえば、このライカSLはぜひ一度手にとってみて欲しいカメラです。

写真からは伝わらない、ひんやりとした質感にすべすべした仕上げの美しさ。ほとんど継ぎ目のないアルミ削り出し構造がもたらす剛性感。とにかく「普通じゃない」と感じるはずです。

とある国産カメラメーカーの開発者が、僕の持っているライカSLを見て「これは本当にすごいカメラですよ。うちには絶対に作れない製品です」と言っていましたが、本当にも工業製品としてのレベルが違う印象です。ちなみに、そうした剛性感に嘘偽りなく、しっかりとシーリングが施された防塵防滴仕様になっています。

手に取ると気持ちが引き締まるカメラ。これは後継の「ライカSL2」では薄まっており、初代ライカSLにしかない魅力です。

美しいファインダーとミニマルなプロ向けUI

2015年の発売時ライカSL」最大の特徴の一つと言われたのが、EVF(電子ビューファインダー)の美しさ

0.66型440万ドットの「EyeResファインダー」と名付けられたこのファインダーは、倍率0.8倍、60fpsのフレームレートを実現し、2020年現在もEVFにおける最高峰のひとつに数えられています。

通常のSLレンズ利用時も大いに快適なファインダーですが、マウントアダプターを介してライカMマウントのレンズを利用した際に特に効果を発揮します。そのマニュアルフォーカスの合わせやすさは、Mレンズの新たな魅力を発見できる機構と言っても過言ではありません。

ON/OFFしか表記がない背面UIが美しい

そしてこの背面の美しさ。なんと「ON/OFF」しか文字表記がありません。あとは黒一色。

背面液晶の周りには4つの長方形ボタンが並んでいますが、それぞれに長押しを加えた8機能を割り当てられており、その見た目通りにユーザーによるカスタマイズを前提としています。まさにプロ用のカメラらしい設計だと思います。

特に右側のボタンは撮影時にも操作しやすいため、EVFから目を離すことなくカメラの設定や撮影した写真のプレビューやレーティングを行うのに便利です(逆に言えば左側のボタンは使いづらいです)。

しかし、このUIは残念ながら「ライカSL2」では変更されてしまいました。一長一短だとは思いますが、ちょっと寂しい気がします。

もちろんデュアルスロット

そしてSDカードはデュアルスロットに対応しています。

ライカのカメラでデュアルスロットは珍しいのですが、この辺はしっかりとプロのお仕事用カメラとしての作法に則っています。

外部マイクが使いづらいUIはNG

しかし、いただけないのが、動画撮影時にマイクやヘッドフォンを直挿しできないという点。

アダプターを咬まさないといけないのですが、またそのアダプターがライカ価格…。しかもお取り寄せ状態なので、手に入りません。

せっかく4KでのLog撮影に対応しているのに、これではもったいない。この辺りは新機種「ライカSL2」ではしっかりと改善されています。

そしてライカSL」最大の不満点は、テザリングが不安定ということ。

ライカ純正の「Image Shuttle」経由でCapture Oneに読み込ませているのですが、この「Image Shuttle」が固まってしまい、場合によってはライカSL」本体がダウンしてしまうことも。正直これは仕事用カメラとしては致命的なので、どうにか解決できないものか落ち着いたらライカストアに相談したいと思っています。

ライカQ2と共通のバッテリーはGOOD

ライカSLの地味に、でも大きなお気に入りポイントはバッテリー。

後に「ライカQ2」にも採用された、シーリングが施されたバッテリーとなっており、使い回しが利くようになっています。

この辺りは「ライカSL2」と「ライカQ2」を一緒に使わせたいという思惑も見え隠れします。この2機種はUIもほぼ一緒になっていますからね。

ライカMマウント/スクリューマウントとの相性抜群

ライカ最大の魅力は豊富なレンズ群。中でもMマウントレンズは数多くの伝説的レンズをラインナップしています。

ライカSLはそんなライカ伝統のMマウントレンズの性能を引き出すことを前提として、センサーのカバーガラスを極限まで薄く設計しているそうです。

また、ライカ純正のマウントアダプターを使えば、レンズの6bitコードがライカSLに伝わるため、EXIF情報の書き込みやライカチューンによるレンズ補正も利用できます。

L/Mの変換リングを使えば、Mマウント以前のスクリューマウントレンズも使用可能です。1931年製の「ヘクトール5cm」をつければこの通り。

アンバランスなようでいて、なんとも魅力的なルックスになります。

古いスクリューマウントレンズはピント精度が怪しい個体も少なくありませんが、EVFでピントが確認できるので、そうした個体差をほぼ無視できるようになるのも魅力です。

初代SLは「ライカSL2」にない孤高の魅力を持つカメラ

以上、ライカSLの魅力やイマイチな点を合わせてご紹介しました。

ちなみに普段仕事に使っているお気に入りのカメラですが、プライベートで持ち歩くかと言うとそれは「NO」。圧倒的な魅力を持つライカSLのボディですが、大きくて重いのは間違いありません。

そんな「大きくて重い」印象をさらに強めているのが、圧倒的な描写を誇るSLレンズなのですが、それについてはまた別記事でレビューをご紹介しようと思います。

取り急ぎライカSLでの作例の一部はこちらのnoteに掲載しておりますのでご参考までに。

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照沼健太

編集者・ライター・写真家・音楽評論家。2014年より2016年末までユニバーサル ミュージックジャパンのオウンドメディア『AMP』編集長を務め、並行してライフスタイルメディア『ROOMIE』に編集部員として参画。現在は音楽・カルチャー・広告等の分野にてコンテンツ制作やプロデュースを行っています。

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